中上級者のシャドーイングについて思うこと

英語学習

これまで試したシャドーイング教材について振り返り、何がダメで何が効果があったのか整理したいと思います。英語中上級者の方で、「シャドーイングをしているけど効果が感じられない」という方の参考になれば幸いです。

中級以降にとってのシャドーイングとは

シャドーイングはリスニングの向上にとても効果的だとされていますが、成果を出すには、「その人に適した教材レベル」と「適切な練習法」が必要です。

当たり前だと怒らないでください。

問題は、「その人に適した教材レベルなんてわからない」ということと、「適切な練習法自体が当人のレベルによって変わる」ということだと思います。

中級者以上がシャドーイングで効果を出すには、

やや難しく(聞き取れない)感じる

自分が好きで真似したい人の

短い1分未満の音声を

聞き取れない箇所、聞き取れても意味の取れない箇所に集中しながら、

何度も繰り返しシャドーイングを行う

ことが必要かと思います。

順を追って説明します。

初級レベルでは、当然のごとく各発音が聞き取りやすく、ゆっくり目の音源を使うはずです。これを正確に真似するようにします。この辺はまぁいいでしょう。

初めからネイティブスピードの音源を使うことはあまりないように思います。

中級レベルに近づくと、やや速度も速いものを使いだすと思います。後に紹介する「6 Minutes English」なども丁度良いレベルかと思います(イギリス英語だけど)。

問題はここからです。

仕事では結構聞ける・しゃべれる気もするけど、ネイティブの会話を聞くとかなりわからない

英語ができると周囲からは思われているが、自身を上級者だと言うのははばかられる

という中上級者。

まず、よく言われるのは「聞き取れない教材を使ってはいけない、簡単めのものを使う方が良い」という主張についてです。

これは本当か。

聞き取れる教材だけを使ってシャドーイングをすることで、なぜリスニング力が上がり得るのか。

これは、聞き取れている英語の意味を日本語に脳内変換せずに理解するスピードが上がっているからだと思います。

だから決して間違ってはいません。

特に中級まではこの力が重要に思いますので、簡単めの教材を使う方が良いと私も思いますが、効果を最大化するためには意味を意識しながらシャドーイングすることがとても重要だと思います。

また持続的に英語を聞く体力も必要ですので、そういう意味でもある程度の長さ(数分)があっても良いと思います。

しかし、中級以降はこれだけだと片手落ちだと思います。

だって、聞き取れない言葉を聞き取れるようにならないですもんね。

中級以降はより細部に対して聞き取れる力をつけていく必要があります。

そのため、私はむしろ少し自分にとってストレッチに感じる「短い」教材を使った方が良いと思います。

長い教材を使うと、「ざっくりシャドーイング」モードになるので短いものが良いです。2分でも長すぎるように思います。

さらには(以下の記事でも紹介しましたが)自分が好きな真似したくなる人が良いです。

その音声の中で、聞き取れない箇所、聞き取れたけど意味が繋がらない箇所に注意を払ってシャドーイングします。

これを聞き取れるようになるまで、意味が頭に浮かんでくるまで何度も繰り返します。

シャドーイング歴と中級の壁

振り返れば随分昔のことになりますが、初めてシャドーイングなるものに触れたのはみんな大好き「音読パッケージシリーズ」です。

当時会社で受験したTOEICが700点強だったと思いますが、仕事の会話は全く使い物になりませんでした。

そんなときに森沢洋一さんの人気シリーズである「音読パッケージ」に出会い、当時出ていたものはすべて購入してやりました。

もう15年近く前ですので詳しいことは覚えていませんが、音読しやすい音源で、当時は効果を実感していて色んな人にすすめて回った覚えがあります。

その後は、またもやみんな大好きBBCの「6 Minutes English」のシャドーイングを始めることにしました。

無料でスクリプトがついてて、内容が面白いという最高のコンテンツだと思います。またレベルも私にはちょうどよく、6分という時間が自分自身の中で絶妙でした。

これ以上長いとやっていてダルいし、短いと負荷が軽いし、という感じです。

Neilさんの話し方が好きで、イギリス英語かっこいいなぁと思っていた時期です。

だからこそ効果が感じられたのだと思います。

基本はふたりの会話で話は進み、このふたりの話し方はとても分かりやすいのですが、よく途中にインタビューの抜粋が入ります。

そしてこのインタビューの内容はいつも一個も聞き取れないんですよね。

BBC Learning English - 6 Minute English

こちらも確か一日30分程度、一週間一音源で数年間はだらだらと続けていたように思います。

この頃には海外出張などにも行き始めており、多少はしゃべれていたと思います。

シャドーイングで私が効果を多少なりとも感じていたのはここまでです。

「6 Minutes English」はある程度分かるけど、もっと難易度が高い英語を聞き取りたい。

その後は、有名なTEDを試してみたり、NPR(アメリカの公共ラジオ)を試してみたり、いろんなpodcastを試してみたりしましたが、効果が感じられないので続きません。

なんでちっとも聞こえるようにならないんだろう???

これぞ中級の壁ですよね。

私が長くの間やってきた「シャドーイングでやってはいけないこと」は次の通りです。

・関心のある題材、難易度は自分にとってやや高めのもつを見つけて、それを6分くらいに分割して30分/日シャドーイング。3日程度同じ題材をした後に次のパートへ移行

難易度が高い題材で6分は長過ぎます。必要な回数と密度のシャドーイングの確保ができないので時間の無駄。

・口が覚えてきたので、機会的に音声に沿って発話しているだけのシャドーイング

→気を抜くとこうなりがちですが、これはもはやシャドーイングではない。無駄。

・基礎固めが必要だと思い直して、難易度の易しめの短い題材を30分/日シャドーイング。易しめなので、毎日題材を変える

→易しめの題材で基礎を固めること自体に問題はないが、一聴して全て聴き取れる、意味も理解できる場合はレベルが合ってない。そうでない場合も毎日題材を変えてしまうとやはり無駄。

共通して言えるのは、題材に対して、必要な回数(密度)と注意を確保すること、そしてその必要な回数(密度)は想定よりも多い、ということかと思います。

音源は短く、繰り返しは多く、意識は「できないところ」に向ける

私は「6 Minutes English」である程度成長実感を得ていたので、

「TED」や「NPR」でもスクリプト付きで数分から十数分程度の音源を探してシャドーイングをしていました。

しかし、今思うと、焦点を当てるべき場所が完全に間違っていました。

もっと短い音源の、自分の聞き取れない場所、聞き取れたけど意味がくみ取れない場所に注意を払って、

繰り返しシャドーイングをすべきだったのです。

毎日音源をころころと変えずに、聞こえる、意味が取れると思うまで何日でもその音源に付き合うべきだったのです。

私は、以前とある英語コーチングサービスを試し、シャドーイングについて相談したところ、

基礎力の向上ということで簡単なレベルのシャドーイング本を購入することを勧められ、

それを一から始めることになりました。

これはあまりにも苦痛で意味がないと思い、二カ月も持たずに辞めてしまいました。

一カ月みっちりやって全く効果がないと思うのなら、レベルかやり方が合ってないと思います。

その後、また時を経てPROGRITでコーチングを受けることになるのですが、

ここでのシャドーイングのやり方は、短い音声を何度も繰り返しシャドーイングする(1音源に対して4時間のシャドーイング!!)というものでした。

その経験を踏まえ、

さらには、自分の好みの話し方をする人の、やや難しく感じる音源を用い、特に聞き取れない箇所、聞き取れても意味がとれない箇所に集中してシャドーイングをする、という

適切なシャドーイング方法を取ることによる少しずつ効果を実感することが出来ています。

長い音源を使うのであれば、1分毎に分割して1週間に2~3分割分くらいのスピード感で進めることをおすすめしますし、

時間に余裕がある方なら、長い音源をシャドーイングしながら聞き取れない箇所、意味の取れない箇所に触れると立ち止まり、そこを重点的に行いつつ進めていく、というやり方もありかもしれません(時間がかかりそうなので私はやっていません)。

まだ私自身も道半ばですが、参考になればうれしいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました