ビジネス力を高めるためには、体系的に読書を行い、それを日常業務において実践するということに勝るものはありません。私にとって最強の読書本である山口周さんの「外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術」を読み、実践した経験について紹介します。
そして、「今後、海外ビジネスに携わりたい」という方にも(駐在員目線から)これを読むことをおすすめします。
MBA or 読書?
ビジネスに必要とされる多角的なスキル、能力を高めるという意味においては、私にとっては読書が最強です。
私はオンラインでアメリカのMBA(EMBA=Executive MBA)を修了しました。
MBAを通じてでしか得られないものは多くあるし、そもそもMBA修了にも多くの読み物が求められることが多いのですが、
体系的に良書を通読し、自身の中で理解を深め、それを日常業務で実践に移す、というサイクル以上にビジネス力を高めるものはないというのが私の実感です。
ですので、純粋にビジネス力の向上ということだけを目的とした場合は、
体系的な読書と実践がまず先に考えられるべきものだろうと考えます。
最近では、MBA科目のオンデマンドのウェビナーも豊富になってきており、私も現職での昇進時の条件として、膨大な数のウェビナーを受講し、修了しました。
自身の都合に合わせて受講できるこういったウェビナーのメリットはもちろん大きいのですが、これもやはり読書には敵いません。
敵わないのは、「思考の遅さ・深さ」「実践」です。
特に「遅さ」というところがポイントかと思っています。
たくさん速く読んでも仕方ありません。
そもそも良書というのは、「さっと読んですべてが分かる」というものではありません。
じっくり読んで、何度も立ち戻ることにより、新たな発見がある
そういうものが良書であると考えられます。
こういった選び抜かれた良書をじっくり何度も読み、それを実践に移す、という行為を
ここでは「読書」としています。
そのため、短期間で効率よく学習を進めることを強みとするオンデマンドのウェビナーとはそもそも目的が異なりますし、
ディスカッションやプロジェクトを通じて気づきや理解を深めていくMBAとは
そもそもカバーする範囲が異なるということができます。
最強の読書本「外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術」

筆者の山口周さんは、元々電通から外資系コンサルにキャリアチェンジされたときに、
ご自身がMBAを修了されていないことから、あらゆるビジネス本を大量に読破されたと言います。
しかし、その多くは時間の浪費であったそうです。
それらの経験から本書では独自の読書法と、「これだけ読めばいい!」という「ビジネス書マンダラ」としてビジネスに効く厳選された良書71冊を紹介しています。
私も6年前にMBAにチャレンジするか迷っている時期にこの本に出会い、
結局、MBAではなく、この本の通りに実践することを決めました。
(MBAはアメリカに来た後に取りました)
それから、自身の仕事の関わりが深いところからビジネス書マンダラを読み始め、
2年かけて71冊を2回ずつ読みました。
なぜ2回なのか、ということですが、
多くの本の1回目に読んだときはあまり深く理解できた感じがしません。
1冊1冊の中身が濃厚ですし、書き込みやビジネスの示唆をメモしながら読むので時間がかかり、長い本だと全体像を見失ったりします。
2回目からようやく何かが頭に染みてきたという状態になり、内容の理解が高まるとより一層面白く読めます。
それ以降、自身の教養につなげるための読書は並行して継続しつつ、
一部のビジネス書マンダラ本は3回、4回と繰り返し読み、今に至るという状態です。
(なお山口さんは5回読みを推奨されています)
つまり、初めて本書を読んでからはもう6年くらい経過しているが、今だにこの本を自身のガイドとして使用していることになります。
(尚、本書は71冊全てを通読することを推奨してはいません。私はたまたま全ての分野に多少の関与・関心があったため読みましたが、マンダラの各分野の応用書は実務的な関与がないと読みこなしは難しく、せっかく読んでも効用は限られると思います)
私がこの読書本をなぜ最強と呼ぶかというと、
ビジネス書マンダラのクオリティの高さ(面白いからこそ何度も読めます)もさることながら、
いかに今まで自分がしてきた読書が仕事に効いていなかったか
言い換えると、適切な読書がいかに仕事に効くかということを実感させてくれたからです。
成果は…?
それからは、毎朝早朝に起き一日最低3時間は読書にあてました。
会社が提供してくれている福利厚生も総動員してすべて本に投資しました。
鈍器になりそうな分厚い本が家の狭い部屋の本棚を占領し、本棚を追加購入しました。
当時はMBAを選択しませんでしたが、MBA通学者に負けないくらいの時間を読書に投下したと思います。
そしてその決断は自身にとって極めてポジティブな影響を与えたと考えています。
そして、海外ビジネスに携わりたいと考えている人たちにとってなぜビジネス素養を高めることが重要なのかですが、
「英語とビジネス言語を共に高いレベルで扱える」ということが現状日本においては強い差別化を生むからです。
英語がとても上手な人はとてもたくさんいます。
ビジネス素養の高い人もたくさんいます。
ただ、その両方となるとその数は結構減ります。
私は、本書を読んで3年後にはアメリカに赴任してました。
3年前には可能性を考えもしなかった状況からです。
運も大いにあるのは事実ですが、
英語とビジネス素養の両方のバランスをうまくアピールできたことが原因の一つなんじゃないかと考えています。
興味を持たれた方はぜひ本書を手に取ってビジネスマンダラの旅に出かけてみましょう。
私のキャリアにとても大きな影響を与えてくれた一冊です。
コメント